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口腔ケア研修会

 3月28日(土)、小倉歯科医師会館で行われた口腔ケア研修会にスタッフ二人と 一緒に参加しました。演題・演者・講演抄録を紹介します。

3つのポイントで見る要介護高齢者への口腔ケア

大阪大学院歯学研究科 高次脳口腔機能学講座                                 無限責任中間法人 TOUCH 舘村 卓 先生

 救命医療の発達により、かつては致命的であった疾患から命は救われる人々の数は増加しています。しかしながら、致命的な疾患を有する前の状態にまで機能が回復し、社会復帰出来る人の数はいまだ少ないのが現状です。すなわち、救命率の上昇は、障害を保有している人々の増加を意味しています。社会参加を妨げる障害の一つが摂食嚥下障害です。
 臨床現場で、疾患治療後の急性期に呼吸路を守るためとの考えで非経口的代替栄養法 (チューブ栄養、TPN、PEG)が採用されます。しかしながら、このような処置が正確な嚥下機能についての評価を行わずに施されると、長期的にはむしろ栄養障害や嚥下障害を惹起することもあります。そのため、経口摂取の重要性があらためて認識されるようになりましたが、経口摂取機能を容易には回復できていないのが現状で、その対応が求められるようになっています。
 現在、摂食嚥下リハビリテーション学会では、成人では脳血管障害、小児では発達障害を嚥下障害の二大原因として扱い、とくに脳血管障害の急性期の終わりから回復期にかけての対応については、医科、歯科を問わず多くの成書が入手できるようになりました。しかしながら、それら多くの成書では方法論が紹介されていますが、生理学的根拠は説明しておらず、「誤魔化している」と思えるような記載もあり、「理論の無い方法論」のために、むしろリスクを増強しているかのように見える場合もあります。
 一般的に歯科医療者が急性期の脳血管障害の患者さんに対応することは少なく、むしろ救命後の維時期において退院し、施設や在宅で過ごす要介護高齢者の方々への「訪問診療」「訪問口腔ケア」の際に「嚥下障害」の問題に遭遇することが多いと思います。それは、口腔ケアが刺激性唾液を誘発すること、元来歯科医療が水を使う医療であるために、嚥下機能についての知識や診断、対応法が要求されるためです。しかしながら、このような人々への対応は、脳血管障害への対応法は有効ではなく、全く異なった概念が必要です。
 今回、1)呼吸路の安全性の確保、2)口腔咽頭機能の賦活、3)食事の調整をキーワードに、「現場の口腔生理学」によって考えてみたいと思います。

 小倉歯科医師会館がほぼ満席状態で、口腔ケアに対する関心が高いことを感じました。また歯科医師・歯科衛生士だけでなく栄養士さんもかなり来られているようでした。私は治療後、患者さんがどのように食事をしているのかを確認することがほとんど無いので、その必要性を強く感じました。また経鼻胃チューブを染め出すと、真赤になりプラークが付着しているのにはびっくりしました。今後も口腔ケアの勉強を継続していきます。           

 


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