田代歯科

アーカイブ

田代歯科医院ブログ カテゴリ:勉強会・講演会

上田塾予演会

  5/14木曜日、北九州歯科医師会で上田塾がありました。今回も前回と同様に第27回日本顎咬合学会学術大会・総会(6/20、6/21に東京国際フォーラム)で発表される6人の先生方の予演会でした。この6人の先生方は「インプラント治療を考える」という演題のもと、各自が経験したこと・大切にしていることをリレー講演されます。副題と発表される先生の名前をお知らせします。
1. コーンビームCTを活用した術前診断について 白土 徹 先生
2. 上顎臼歯部における骨量不足への対応 大塚 浩司 先生
3. 骨形態を考慮した埋入方法 石本 圭 先生
4. 前歯部インプラントにおける解剖学的リスクファクターについて 森 裕之先生
5. 埋入中、埋入後のトラブルについて 中尾 伸宏 先生
6. インプラント埋入その前に 山田 潤一 先生
この日は休憩なしで6人連続で発表でした。皆さん個性溢れるもので本番が楽しみです!

2009.05.23 0011.jpg 
 

2009.05.23 006.jpg
2009.05.23 0022.jpg2009.05.23 003.jpg2009.05.23 004.jpg2009.05.23 005.jpg


4月上田塾例会

 ゴールデンウイークもあっという間に終わってしまいましたね。最近は寒暖の差が大きいので皆さん体調管理には十分注意しましょう。4/30木に上田塾の4月例会がありました。今回は6/20、6/21に東京国際フォーラムで開催される第27回日本顎咬合学会学術大会・総会「アート・サイエンス・クラフトの融合」で発表される椋 秀雄先生と椋 誠二先生の予演会でした。二人はご兄弟でとても仲良しです。発表もお二人ともインプラントに関することです。いざ発表となると、どこに焦点を絞るか?何を言いたいのか?なかなか大変そうです。本番までまだ時間があるので頑張って下さい!

2009.05.12 001.jpg

2009.05.12 002.jpg

 

 
 


ティーアライナーのコンセプトと臨床応用

 4/29水(昭和の日)、東京都港区芝公園にあるコンベンションホールAP浜松町で「ティーアライナーのコンセプトと臨床応用~下顎位の改善とティーアライナー~」という筒井塾の講習会に参加しました。ティーアライナーとは透明なポリカーボネート素材のデュランで作られた可撤式矯正装置で、これを定期的に交換することによって歯を移動させることが可能です。 

 利点として以下のことが挙げられます。
① 動かしたい歯を動かしたい方向に何㎜動かすなどが正確に設定できる。
② 反作用を床の部分や歯列全体で受けるので、その悪影響をあまり考えなくて良い(床装置と同じ)。
③ 歪んでいるアーチのコントロールがかなり行いやすい。
④ TMDや顎位の偏位にスプリント効果がある。

 このティーアライナーとスプリントや床矯正装置を組み併せて使用することによって歯が移動することは非常に驚きでした。従来、マルチブラケットシステムに代表される固定式装置が一般的である矯正治療に一石を投じる治療法だと感じました。ティーアライナーは素晴らしい装置ですが、装着する前に、口腔・生体を崩壊させている原因(態癖等)を見抜き、除去することが非常に重要なポイントになると思いました。10:00からお昼休み1時間はさんで17:00まで、筒井照子先生、DENTICの大石耕史先生本当に貴重な講演ありがとうございました!

 

21.04.27FOP 001.jpg


GC友の会講演会

 4/12(日)エルガーラホール8F大ホールであったGC友の会の講演会について、
演題、講演者、抄録を紹介します。

映像01 患者さんと末永くおつきあいするために
    ~診療室から始まる口腔ケア~
監修・指導 米山武義 先生 静岡県駿東郡 米山歯科クリニック
 超高齢社会を迎え、歯科医院も高齢者への対応が求められています。今回は、歯科医院に来院される高齢者への口腔ケアから、在宅・訪問ケア、口腔機能リハビリテーションまでの、基本的な知識と口腔ケアの効果についてご紹介します。

講演01 超高齢社会を支えるかかりつけ歯科医の在るべき姿を追い求めて
米山武義 先生 静岡県駿東郡 米山歯科クリニック
 超高齢社会に生きる歯科医師像をイメージしたことのある方はほとんどいないのではないでしょうか?私もその一人でした。しかし、現実をみた時、急速に高齢化が進み、複数の基礎疾患を持ちながら口腔内に器質的および機能的な問題を持つ高齢者が非常に増えています。在宅、施設および病院等で療養され、歯科医院に通院できない方々が劣悪な口腔状態を抱えることにより口腔内に起因する全身疾患を発症している可能性も大いに考えられます。この深刻化する現状に我々歯科医師はいつまでも目をつむっていて良いのでしょうか。診療室が在宅医療の出発点という観点から、反省も含め、診療室から訪問診療に至る取り組みをご紹介したいと思います。

映像02 確実なインプラント治療とは
~患者さんへの適切な情報提供と確実な欠損補綴治療の実際~
監修(学術) 井上 孝 先生 東京歯科大学臨床検査学教室 教授
  (臨床) 上田 秀朗 先生 福岡県北九州 うえだ歯科
 インプラント治療は、一部の歯科医師が行う特別な治療から、一般的な治療の一つとして、その役割が拡がりつつあります。一方で、治療の普及とともに、患者さんからの過大な期待、内科・外科など総合的な知識・技術が必要とされることなど、インプラント治療特有の難しさもまた、広く認識されるようになってきました。今回は、インプラント検査や補綴診査により、疾患などを正しく把握し行う確実なインプラント治療を「生体」と「臨床」、知識と技術の側面からご紹介します。

講演02 インプラント治療への誘い
~より効果的なインプラントの応用を目指して~
上田 秀朗 先生 福岡県北九州 うえだ歯科
 インプラント治療は、予知性が向上するとともにその適応範囲を大幅に広げ、今日の補綴物の設計や抜歯の基準に影響を及ぼすほど日常的な治療として広く用いられている。また利点として、ブリッジや部分床義歯と異なり、残存歯に余分な負担をかけることなく欠損部の咬合負担域を単独で拡大できるということが挙げられる。今回は、包括的な歯科治療におけるインプラントの位置づけ、さらに現
在トピックとなっている治療期間短縮のための試みなど、当院でのインプラント治療について紹介していきたい。

インプラントの常態と病態を理解する
~欠損を治療するアートから医療へ~
井上 孝 先生 東京歯科大学臨床検査学教室 教授
 現在インプラント治療はエビデンスの構築基盤が不完全なまま市民権を得た感があります。そして10年、15年を超えて機能する多くのインプラントの中で、審美を追求するために様々な不都合例が出てきている症例も多々あるのが事実のようです。我々も一度根拠を持った検査、診断、予後観察を考える時期に来ているように思います。そのためには、病態の本質を理解し、個体を時間軸で見て、それを判断するための検査と異常値のでるメカニズムを解説できる知識が要求されると考えています。

簡単に感想を述べます。
・ 映像の後に監修者による講演があったので、非常に理解しやすかったです。
・ 米山先生の話を聞いて、基本的歯科医療を診療室だけでなく、介護施設、  一般病院、在宅で行えるシステムが必要だと痛感しました。
・ オーラルディスキネジア(舌の不随意運動)が義歯を装着することによって、
改善した患者さんには驚愕しました。
・ 相変わらず上田先生のインプラント臨床は素晴らしかったです。
・ 井上先生の講演は、臨床にエビデンスを与えてくれました。
・ エビデンスは、歯科医療の重要性をアピールしていくために必要だと思いました。


10年先を見据えて~歯科界の光と影~

 4/5日、福岡県歯科医師会館で九州歯科大学同窓会主催の学術講演会に参加してきました。講演タイトル、講演者、抄録を紹介します。

10年先を見据えて~歯科界の光と影~

東京歯科大学教授 井上 孝 先生

抄録: 2009年2月7日(土曜日)、8日(日曜日)に第102回歯科医師国家試験が行われました。大学より卒業生の主任を仰せつかったため、指導に明け暮れたという感の強い1年でした。さて、今回の試験の出題形式では、本講演会のタイトルを表すかのような問題が多く出されたという印象で、限りなく医科系のイメージが強くなっています。講座関係単独の問題というより、基礎臨床を統合した問題が増え、摂食嚥下、医療安全、障害者歯科、老年歯科、そして内科的問題などが数多く出題されていたのが印象的でした。
 翻って、歯科医療を見てみますと、MTなる診断名により、欠損をいかにして修復するかに主眼が置かれ、診断に関わる検査や診断後の評価に用いる検査がなく、エビデンスを構築するための基盤を持っていなかったように思います。歯周ポケットがどのくらい深いのか、プローブで計測することを歯科では検査と呼んでいますが、それは病態を知る手段ではないとおもいます。一般外科の先生が皮膚に裂傷を起こした患者さんに行うでしょうか。消毒をして、細菌検査をして、
それにあう抗菌薬を投与するはずです。もし、筋肉まで損傷が及んでいれば、筋肉の創傷の治癒の悪さを考慮して縫合を工夫し、リハビリもするでしょう。すなわち、国家試験で問われはじめた問題は、歯科医療も医療であることを認識するようにと厚生労働省が言っているようにも思えます。
 このような状況にあって、歯科界でも、口腔疾患に関わる検査の開発、臨床現場への普及、検査値の標準化・標準値管理、検査・診断機器の開発、臨床検査会社との連携などを強力に推進する必要があると考えており、平成20年には日本口腔検査学会を立ち上げました。しかし、検査をして、診断名や治療方針が決まれば、今度は患者に説明する(医療面接、インフォームドコンセント)ことが重要になります。現実では、大学に入るために理科系のIQ(知能指数)のみで入
学した学生に、文科系のEQ(情動指数)を高めるために教育する必要がでています。いかに検査をして、病態と診断名が分かり、治療方針が決まっても、患者に接する説明態度が悪ければ、患者は満足しません。大学では今、OSCEなる新しい臨床評価機構ができ、模擬患者(ある疾患を装うボランティア)が活躍するようになりました。”どうなさいましたか”、と頬を押さえている模擬患者に”歯痛ですね”と共感を求めろと教えます。教官は”君は今患者に共感していなかった・・・”と学生を叱り、駄目の評価が下されることになります。自分は大学時代少林寺拳法部に所属していました。”井上、防具もってこい””井上、掃除しとけ””井上遅いぞ・””井上それじゃ駄目だ・・・”と天皇、神様、仏様の先輩たちの声が鳴り止まない道場でした。それでも試合で負けても先輩たちに怒られた記憶はありません。一生懸命行ったことに賞賛さえくれたものです。怪我をして試合に出られない人間に”怪我をした部分が痛いんだよね”などと聞く部員は一人もいません。”井上の分まで、俺が頑張るから・・・・”です。私見としては、OSCEをするなら、学生が全員運動部に所属すればよいとも思っています。これは冗談としても、教育結果(国家試験合格率など)が期待されている現在、教育の重要性を改めて考える今日この頃です。
 勿論、態度だけが良くても病態学を知らなければインフォームドコンセントはできません。病態学とは、疾病ににおける形態と機能および代謝の変化を研究する学問です。昨今話題となっているGTR、エムドゲイン、接着性レジンそしてインプラントなどは、病態論的に考えれば、如何に生体親和性が良くても非自己です。歯牙でも齲蝕や歯周病に罹患して、感染象牙質やセメント質となればその部位は非自己ですし、癌になれば生体が作り出した非自己です。非自己であれば生体はそれを排除するように働くのです。医療は、非自己を排除し、自己の治癒を妨げる因子を排除することに始まります。良かれと思って行う研磨剤を用いたポリッシングで、もし研磨剤がポケットに入れば、立派な異物を伴う病態になってしまいます。私は、この理論に基づき、排除されないために材料を開発し、再生または創傷の治癒を起こし生体を改善する研究を行っています。
 この度は、講演の機会を与えていただき、歯科医療の行く末などを考え、少しでも皆様方の日常臨床のお役に立てばと思い、現在・過去・未来の歯科について病態生理学的に、また臨床検査学的に考えてみたいと思います。さらに、医療の質の保証と患者の安全が医療安全の大前提ですが、そのためにも病態論と、それを治療するための検査をもう一度考えて頂きたく思います。何卒宜しくお願い申し上げます。

講演を聞いた後の感想を簡単に列記します。                        ・ 病態を把握するために検査を充実させることが非常に大切だと思いました。
・ 同時に、その検査に基づいてどのような診断がされ、どのような治療が選択さ   れ、行われていくのかを一連の流れとして示す必要があると思いました。
・ 10年後に歯科医療も医療であるということが示せる歯科界になることを願っています。

 


口腔ケア研修会

 3月28日(土)、小倉歯科医師会館で行われた口腔ケア研修会にスタッフ二人と 一緒に参加しました。演題・演者・講演抄録を紹介します。

3つのポイントで見る要介護高齢者への口腔ケア

大阪大学院歯学研究科 高次脳口腔機能学講座                                 無限責任中間法人 TOUCH 舘村 卓 先生

 救命医療の発達により、かつては致命的であった疾患から命は救われる人々の数は増加しています。しかしながら、致命的な疾患を有する前の状態にまで機能が回復し、社会復帰出来る人の数はいまだ少ないのが現状です。すなわち、救命率の上昇は、障害を保有している人々の増加を意味しています。社会参加を妨げる障害の一つが摂食嚥下障害です。
 臨床現場で、疾患治療後の急性期に呼吸路を守るためとの考えで非経口的代替栄養法 (チューブ栄養、TPN、PEG)が採用されます。しかしながら、このような処置が正確な嚥下機能についての評価を行わずに施されると、長期的にはむしろ栄養障害や嚥下障害を惹起することもあります。そのため、経口摂取の重要性があらためて認識されるようになりましたが、経口摂取機能を容易には回復できていないのが現状で、その対応が求められるようになっています。
 現在、摂食嚥下リハビリテーション学会では、成人では脳血管障害、小児では発達障害を嚥下障害の二大原因として扱い、とくに脳血管障害の急性期の終わりから回復期にかけての対応については、医科、歯科を問わず多くの成書が入手できるようになりました。しかしながら、それら多くの成書では方法論が紹介されていますが、生理学的根拠は説明しておらず、「誤魔化している」と思えるような記載もあり、「理論の無い方法論」のために、むしろリスクを増強しているかのように見える場合もあります。
 一般的に歯科医療者が急性期の脳血管障害の患者さんに対応することは少なく、むしろ救命後の維時期において退院し、施設や在宅で過ごす要介護高齢者の方々への「訪問診療」「訪問口腔ケア」の際に「嚥下障害」の問題に遭遇することが多いと思います。それは、口腔ケアが刺激性唾液を誘発すること、元来歯科医療が水を使う医療であるために、嚥下機能についての知識や診断、対応法が要求されるためです。しかしながら、このような人々への対応は、脳血管障害への対応法は有効ではなく、全く異なった概念が必要です。
 今回、1)呼吸路の安全性の確保、2)口腔咽頭機能の賦活、3)食事の調整をキーワードに、「現場の口腔生理学」によって考えてみたいと思います。

 小倉歯科医師会館がほぼ満席状態で、口腔ケアに対する関心が高いことを感じました。また歯科医師・歯科衛生士だけでなく栄養士さんもかなり来られているようでした。私は治療後、患者さんがどのように食事をしているのかを確認することがほとんど無いので、その必要性を強く感じました。また経鼻胃チューブを染め出すと、真赤になりプラークが付着しているのにはびっくりしました。今後も口腔ケアの勉強を継続していきます。           

 


上田塾3月例会

21.03.18 008.jpg 3月26日(木)に上田塾3月例会がありました。
最初にトクヤマデンタル福岡営業所の鶴田さんがトクヤママルチボンドⅡに   関するプレゼンテーションをしてくれました。                                         
特徴として以下の4つのことがあげられます。
・簡単な前処置
・高接着性
・靭性の向上
・高審美性
鶴田さんの説明は非常に謙虚であり、自社の製品に対する情熱も感じさせてくれました。どうもありがとうございました。

21.03.18 011.jpg

 次に飯塚市開業の吉川和男先生に「患者さんと理解を深めるために」という演題で基調講演をしていただきました。20年以上の開業歴から発せられる言葉は、経験に裏打ちされたもので非常に説得力、含蓄のあるものでした。自分でカウンセリングを行うと、頭の整理が出来、自分の足りない所がよく分かると言われていました。吉川先生の臨床に対する真摯な姿勢がスッと伝わってきました。講演ありがとうございました。これからもご指導宜しくお願いします。          

4月の上田塾は4/30(木)です。


JACD春の例会

 3月22日(日)、JACD春の例会が株式会社ヨシダ九州支店            (福岡営業所)でありました。当日の内容を紹介します。

司会進行:高村聖一先生

開会挨拶 JACD会長 上田秀朗 先生  

第1題 「長期治療こそ患者さんに喜んでもらいたい!!」
発表者:延藤秀樹 先生 座長 田中憲一 先生
第2題「全身・口腔を考えながら・・・力を常に読む」
発表者:上谷智哉 先生 座長:樋口琢善 先生

第3題「全顎治療に兆戦」
発表者:永山雅大 先生 座長:桃園貴功先生
第4題「開業1年後までの取り組み~初期治療を中心として~」
発表者:有川公志郎 先生 座長:小松智成 先生

基調講演
「咬合最構成 その1 ~姿勢・顔貌・発語を考慮して~」
発表者:三橋哲哉 先生

基調講演
「二人で見えてきた”歯科臨床”~35年×2の軌跡~」
発表者:筒井照子 先生

閉会挨拶:JACD副会長 国賀 就一郎 先生

若い先生方が、基本を大切にしながら
最新の知識・技術を駆使して臨床を行っている姿は                   素晴らしいと思いました。

態癖の前には、完璧と思われた歯周治療・補綴治療も崩壊してしまいます。
態癖の診断・対応が長期的な補綴物の維持に影響を及ぼすことが         よく分かりました。

例会後は、中洲の華味鳥で水炊きに舌鼓を打ちながら                ナイトサイエンスを楽しみました。


第24回 日本審美歯科協会 学術講演会

 3月15日(日)に、第24回日本審美歯科協会学術講演会に参加してきました。
福岡国際会議場(国際会議室501、展示ホール502・503)で開催され、当日は非常に天気もよく、会場から博多湾が凄くきれいに見えました。思わず、見とれてしまいました。                                                                                                                               
       

 今回は”審美歯科のトレンドを探る”というテーマの下、現在臨床の先端を行く新進気鋭の先生方が「ニューマテリアル」「ダイレクトレストレーション」「審美インプラント」「包括歯科診療」に焦点を当てた講演をしてくれました。また、参加者主導型のスマイルギャラリー、審美企業フォーラムという企画もあり有意義かつ楽しく時間を過ごすことができました。

 どのプレゼンテーションでも歯周病の治療が充分されたうえで、審美修復・補綴がされていました。現在の歯科治療では、歯周病の治療は空気のように必須なものであることを再認識しました。ただ質問の時間が無かったのが惜しまれます。来年は25回の記念大会が東京で開催されるそうです。

21.03.18.jpg


九州歯科大学臨床歯周病研究会 創立15周年記念講演会

3月8日(日)に九州歯科大学臨床歯周病研究会 創立15周年記念講演会が小倉歯科医師会館でありました。記念講演会について報告します。

13:10 ~ 14:10
特別講演①
演題:「SPT中の再発症例についての検討と予後診断法の開発」
~ Clinical Progonostic Indicatorの解明   ~ 

演者:九州歯科大学歯周病制御再建学 教授 横田 誠 先生
抄録:Axelsson & Lindhe 1981年はメインテナンス中の付着の喪失を予防するにはメインテナンス中のPMTCに代表されるSPTによる長期維持管理の重要性が認識されてきている。一方、例え適切な維持管理を行っても再発が起こりやすい患者がいることも臨床的に経験するところである。今回は、基本治療によるpoor rsponsive patientはSPTにおいても再発傾向が高いことをベースに、biomakerや咬合因子などのprogonostic indicatorについて述べる予定である。

14:20 ~ 16:00
特別講演②
演題:「長期経過症例から見えてきたこと、まだ見えないこと」
演者:北川原歯科医院院長 北川原 健 先生(長野市開業)
抄録:卒業して半年にして父の急病のために長野に帰って臨床に入ってから40年が経過してしまいました。大学で勉強した経験を持たない私はただひたすら自分が処置したものの経過を診、推論することから知識を得てきたように思います。その中からいつかは臨床への考え方に「普遍性」を得たい・・と考えていましたが、人の変化は多様で未だに思考錯誤を繰り返す毎日を送っています。経過を診るという意味では捨てないで保存してきた20万枚になるであろう口腔内写真とカルテ袋の中にあるX線写真は役に立ちました。それらを見ていくといくつかは「普遍性がある・・」とよんでもいいと思われる事柄にも思い至りました。「臨床診断」「臨床経過」「臨床考察」という言葉が私は好きなのですが、今回は一つの症例の処置経過を軸として、「何故こう考えて処置したのか」「どんな結果になっているのか」を、長期経過症例を絡ませてお話してみたいと思っております。前述したごとく「EBMに基づく歯科医療」とは反対側にある形のものであり、フランス料理のフルコースのような美しくおいしいものではなく、信州そばやおやきのように貧しく栄養価も低くあっさりした、しかも賞味期限が切れかかっているものです。九州の方のお口に合うとは思えませんがご試食頂ければ幸いです。

2つの特別講演とも歯周病治療、いや歯科治療の本質に迫るものでした。患者さんにとっては、歯周病そのものがストレスになり、口の中だけではなく全身に影響を及ぼすということがよくわかりました。長期的に患者さんの経過を観察し、そこから得られる事実は、論文や実験とは違った説得力がありました。もっとディスカッションの時間が欲しかったです。

 


このページのトップへ